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企業において進むマルチクラウド化のメリット・デメリットを比較

クラウド環境の利用が一般化した現代においては、複数のクラウドベンダーを利用することも増えています。このようなマルチクラウドにおけるシステムの運用には様々なメリットがあるものの、運用面の煩雑さなどのデメリットもあります。

この記事では、マルチクラウドの概要を紹介しつつ、自社システムを特定のクラウドベンダーへ集中させるケースとの比較を行うことで、マルチクラウドのメリット・デメリットを紹介します。

目次

マルチクラウドとは

マルチクラウドとは、複数のクラウド環境を併用することを指す言葉です。現代においては、ITシステムのインフラとしてクラウドを採用することは一般的となっています。

このとき、単一のクラウドベンダーではなく、複数のクラウドベンダーを利用するケースをマルチクラウドと呼びます。なお、パブリッククラウドや、オンプレミス、プライベートクラウドなどを併用する形態は、ハイブリッドクラウドといいます。

マルチクラウドとハイブリッドクラウドは似ている概念ではありますが、別の言葉として定義されています。

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採用ケースが増えるマルチクラウド

自社システムの導入・運用において、多くの企業でマルチクラウドの採用が進んでいます。

2022年のHashiCorp社の調査によれば、「マルチクラウドを既に採用した、もしくは1年以内に採用する予定である」と回答した企業が81%にもおよぶことが明らかとなりました。本調査は、主に海外の企業を中心に行われたものではありますが、マルチクラウドが一般化している状況を表しているといえるでしょう。

参考:HashiCorp 2022 State of Cloud Strategy Survey Making Multi-Cloud Work
https://www.hashicorp.com/state-of-the-cloud

マルチクラウド化が進む背景

なぜ企業においてマルチクラウド化が進んでいるのでしょうか。その背景は様々考えられますが、主な理由は以下のとおりと想定されます。

クラウドベンダーの競争激化

「クラウドコンピューティング」という言葉が注目されるようになったのは、2006年のAmazon EC2/S3サービスの開始に寄与するところが大きいといえます。当時、採用できるクラウドサービスの選択肢は、AWSやSalesforceなど、ごく一部に限られていました。

しかしながら、その後GoogleやMicrosoftが相次いでクラウドサービスの提供を開始するなど、現在では多くのITベンダーがクラウド市場へ参入しており、競争が激化しています。各社は機能面・コスト面で差別化を図っており、ユーザー側にとっては選択肢が増えている状況です。

このような背景から、ユーザー側も多様なクラウドサービスから複数を採用するという選択肢を取りやすくなっています。

システム要件による使い分け

近年ではDXの潮流などもあり、クラウドのニーズが高まっています。多様なニーズに対応するためには、要件によりクラウドサービスを使い分ける必要が生じることから、マルチクラウドを採用するケースが増えています。

たとえば、AWS、Azure、GCPという主要なクラウドサービスにおける違いとして、準拠法が挙げられます。Azureは日本で利用する場合は日本の法律を準拠法としますが、AWSはアメリカのワシントン州法(ただし設定で日本法に変更可能)、GCPはアメリカのカリフォルニア州法が準拠法となります。また、Microsoft製品を活用したシステムを構築する場合は、ライセンス面などで、同じMicrosoft社が提供するAzureにメリットがあるといえるでしょう。

このように、各クラウドサービスの特色に応じた使い分けを行う場合には、マルチクラウド化が必要です。

ベンダーロックイン回避・リスク分散

特定のクラウドベンダーに自社のすべてのシステムを預けて運用する場合、ベンダーロックインの問題がリスクとなります。ベンダーロックインリスクを嫌い、マルチクラウド化を進める企業も存在します。

また、リスク分散という観点でも、マルチクラウドの採用が検討できます。各クラウドサービス内でも、複数リージョンの採用などによりDR構成を構築することができますが、DNS設定ミスなどに起因するような広域障害への完全な対応は難しいといえます。また、サービス停止やサービス縮小といったリスクも考えられるでしょう。

利用するクラウドサービスを分離することで、よりリスクの低い構成を実現できます。

マルチクラウド vs 1社集中

それでは、「マルチクラウド」と「特定のクラウドベンダーへの集中」とでは、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。以下では、両者を比較することでその違いを整理していきます。

機能面

機能面では、マルチクラウドに軍配が上がります。

マルチクラウドでは、用途に応じて様々なクラウドベンダーから最適なベンダーを選択できるメリットがあります。クラウドベンダーA社には備わっていない機能でも、B社であれば提供されているケースもあります。また、使用するソフトウェアやサービスなどの相性の良さでクラウドサービスを選択できることもメリットとなります。

他方、1社集中のケースでは、当然ながらそのサービスが備える範囲で機能を利用することになります。

このように、マルチクラウドによりビジネスニーズに合わせた柔軟な対応が可能となる点は、大きなメリットといえるでしょう。

コスト面

コスト面については、様々な観点が存在するため、どちらが優れているかは一概に言えません。

マルチクラウドにおけるメリットとして、複数のクラウドベンダーを比較してコストの安いサービスを利用できるという点があります。一方で、複数社と契約するため初期費用や利用料などがかさみ、コストが高額となる可能性もあります。

1社集中の場合のメリットとしては、企業規模にもよりますがボリュームディスカウントを受けられる可能性が考えられます。一方で、クラウドベンダーがサービスの値上げを実施した際に、場合によっては他のクラウドサービスへの乗り換えが必要になることも考えられます。

このように、コスト面については様々な観点が存在するため、自社の状況や規模に応じた判断が必要となります。

ベンダーロックインリスク

ベンダーロックインリスクを下げられるという点においては、マルチクラウドにメリットがあります。

マルチクラウド化により複数のベンダーとの取引関係を作っておくことで、リスクを下げられます。たとえば、あるベンダーがサービスを値上げした場合は、今後リリースするシステムについては別のベンダーを利用するといったように、柔軟な対応が可能となります。

1社集中の場合、費用の値上げやサービスの改定などにおいて交渉力を高めることが難しくなります。サービス縮小や停止といった状況が発生した場合の対応も難しいといえます。

運用面

運用面では、1社集中の方が効率的といえます。

マルチクラウドにおいては、クラウドサービスごとに運用手順を定める必要があるなど、運用管理が煩雑化します。また、当然ながらそれぞれのクラウドサービスについての知識や経験も必要となります。システムの監視を行う際にも、監視対象の環境が増えることになります。

1社集中の場合、運用管理や監視においてはそのクラウドサービスのみが対象となるため、運用手順を共通化しやすいといえます。

マルチクラウド化を進める上でのポイント

上述したメリット・デメリットを念頭に置きつつ、マルチクラウド化を進めていく場合には、どのような観点を意識すればよいのでしょうか。以下では、ポイントを整理してご紹介します。

スキルを持った人材を育成・採用する

上述のとおり、マルチクラウド化を進めるためには多数のベンダーが提供するそれぞれのクラウドサービスに知見・経験を持った人材が必要となります。

一方で、複数のクラウドサービスに精通した人材はまれです。また、これまで単一のクラウドベンダーを利用していた場合には、社内でのスキル蓄積も特定のサービスに偏っている状況が想定されます。

このような状況の中では、人材育成や中途採用などを通じて、導入するクラウドサービスへの知見を持った人材を確保する必要があるでしょう。

また、リスクヘッジのためにも、新たなクラウドベンダーを利用する場合には、可能であれば、比較的小規模のプロジェクト・ミッションクリティカルではないシステムなどから導入検討することをおすすめします。

マルチクラウドを一元的に運用・監視する手段を整える

マルチクラウドのデメリットである運用面を改善するためには、複数のクラウドを一元的に運用・監視するための手段を整える必要があります。

クラウドベンダーが提供する監視ツールは、どうしても自社のクラウドサービスの監視が中心となります。つまり、マルチクラウド環境において、クラウドベンダーが提供する監視ツールでまかなう場合、必然的に複数の監視ツールを導入する必要があり、運用が複雑化します。

以上を踏まえた場合、マルチクラウドを一元的に監視できるツールの導入は、1つの効率化の手段となります。

また、自社のスキルが不十分である場合は、場合によりMSP(マネージドサービスプロバイダ)を活用し運用監視作業を外部委託することも選択肢となります。ただし、MSPの採用にはスキルが自社に蓄積しない、コストがかかる、MSP事業者にロックインされてしまうというデメリットもあります。

マルチクラウドの監視を実現するLogicMonitorとは

上述のとおり、マルチクラウド化を行うにあたっては、一元的なシステムの運用・監視ツールが必須といえます。

SaaS型IT統合運用監視サービスであるLogicMonitorは、マルチクラウド環境に対応できるおすすめの監視ツールです。

AWS・Azure・GCPをはじめとした主要なクラウドサービスはもちろんのこと、Oracle CloudやFJcloudなどの多様なクラウドサービスにも対応します。

さらに、LogicMonitorはクラウド環境だけではなくオンプレミス環境も含めて対応可能。ハイブリッドクラウド環境においても一元的な監視を実現します。

また、LogicMonitorのコンソール画面では、サービスやアーキテクチャなどでグルーピングすることができるため、マルチクラウドやハイブリッドクラウドにおける監視業務を効率化することもできます。

LogicMonitorは数千台以上の大規模な運用実績もあり、大企業での導入も問題なく対応できます。LogicMonitorの詳細については、こちらのサービス資料もご覧ください。

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まとめ

この記事では、マルチクラウドの概要やそのメリット・デメリットについて紹介しました。

マルチクラウドにはメリット・デメリットが存在するものの、DX推進などを背景としてスピーディーかつ柔軟に環境を構築できるクラウドのニーズが高まっている点や、クラウドサービスに多様な選択肢が生まれている点などを鑑みると、マルチクラウドは当たり前の選択肢として定着していくと思われます。

システムの運用・監視においては、DXの一環として、マルチクラウドを前提とした一元的な運用・監視環境の構築をおすすめします。

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