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システム運用業務のDXにより余裕を生み出す 主な取り組みを紹介

多くの企業において、既存ビジネスの継続のために多額のIT予算が使われているという現状があります。システム運用保守にかかるコストも必要な人的リソースも高止まりしている中で、新規投資に回す余力を失っている企業も多い状況です。

このような中、運用業務のDXを進めることで業務の効率化や属人化の排除、コスト削減を進めることは、現場の負荷軽減・企業戦略のどちらの面からも重要です。この記事は、システム運用業務のDXを進めなければならない理由に加えて、具体的な取り組みについて紹介します。

目次

なぜシステム運用のDXが必要なのか

なぜ今、システム運用のDXを進める必要があるのでしょうか。以下では、日本企業のITシステムの現状を踏まえて紹介します。

システム予算の76%を占める運用保守コスト

DXというと新規ビジネスなど新たな取り組みに目が行きがちですが、既存業務の改善・改良も重要です。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が公表した「企業IT動向調査報告書2022」によれば、2021年度はIT予算の76.4%が「ラン・ザ・ビジネス」、つまり既存ビジネスの運用を行うために費やされているという結果※1となっています。

このような傾向は、過去10年以上継続しています。この課題は経済産業省「DXレポート」でも指摘されており※2、多くの企業の足かせとなっているものの、現在でも改善できていない状況といえるでしょう。

ラン・ザ・ビジネスに9割以上の予算を費やしている企業も3社に1社存在するなど、企業におけるITコストの多くが運用保守に費やされている現状があります。このような中、運用保守コストを低減させ、新規投資に予算を配分していくことは多くの企業にとって喫緊の課題となっています。

※1:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書2022」
1章IT予算・投資マネジメント(5)IT予算の配分より
https://juas.or.jp/cms/media/2022/04/JUAS_IT2022.pdf

※2:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
2.2 既存システムの現状と課題 2.2.1 DX の足かせとなっている既存システムより
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

業務の属人化

多くの企業においてシステム運用業務が属人化していることも課題です。長年同一のシステムを、メンテナンスを繰り返しながら利用している企業は多いといえます。このようなシステムを運用するためには、そのシステムに対する深い理解が必要です。●●システムはAさんに聞かないと分からない、××システムはBさんに、といったように、長年そのシステムに携わっているメンバーがいなければ運用業務が回らないといった状況も生じています。

中小企業にとっても、システム運用業務の属人化は課題といえるでしょう。情報システム担当者が1名ないし数名という企業も多く、退職などにより業務が回らなくなるような事態も起きてしまいます。

運用業務の属人性を排除し、スキル・ノウハウを継承することは企業の継続性という観点でも重要な課題です。

運用業務のDX推進により余剰を生み出す

このような課題を解決するためにも、システム運用業務のDXを進めることが重要です。システム運用業務を改善し、予算面でも人的リソース面でも余剰を生み出していくことを目指します。この余剰を、ビジネスにおける新規投資へと回していく流れを作る必要があります。

システム運用業務を改善するための施策を実施していくことが、まさに今、システム運用部門に求められています。

システム運用のDXを進めるための取り組み例

それでは、具体的にどのような取り組みが有効だと考えられるのでしょうか。ここでは、「運用業務の共通基盤化」「運用自動化」「クラウド移行」の3つの取り組みを取り上げます。

運用業務の共通基盤化

まず紹介するのは、運用業務の共通基盤化です。従来、バラバラに運用されてきたシステムを共通化することで、一元的な管理を実現します。

運用業務の共通化を実現するためには、業務面・基盤面での対応が必要です。以下ではそれぞれの観点をご紹介します。

業務面:プロセスの標準化を進める

業務面では、システムに関わらず運用業務プロセス標準化する取り組みが有効です。標準化により、属人性を排除した業務遂行が可能となり、また運用業務の品質も担保しやすくなります。

標準化においては、たとえばITサービスマネジメントのベストプラクティスとして知られるITILなどを参考にしつつ、自社にあったプロセスを組み立てていきます。

基盤面:共通インフラ基盤や統合運用管理ツールの活用

基盤面では、共通インフラ基盤の構築や統合運用管理ツールの活用が有効です。各システムのインフラ環境をできるだけ統一することで、運用管理がしやすくなります。

システムの要件にもよるものの、個別対応をできるだけ排除していくことが運用業務効率化のためには効果的です。たとえば、新規に構築するシステムにおいては、原則としてIaaSなどのクラウド利用を必須とするといったルールを社内で定めることも有効でしょう。

また、運用管理ツール面でも、個別のシステムごとにツールを導入するのではなく、可能な限り共通化することが望ましいといえます。オンプレミス・クラウドなど様々な環境に対応した統合運用管理ツールを採用することが有効です。このようなツールで自社の運用業務を一元化することで、ツールの利用スキルという観点でも属人性を排除しつつ、ノウハウの蓄積がしやすくなります。

運用自動化

運用業務の自動化も有効な施策です。自動化により、運用負荷軽減はもちろんのこと、ヒューマンエラーの防止や対応の迅速化などの効果を得ることもできます。

上述した標準化を進めると、運用業務の自動化も進めやすくなるという相乗効果があります。標準化と合わせて、自動化できる作業項目がないかを棚卸していくことが有効です。

具体的には、どのような取り組みにより業務を自動化できるのでしょうか。ここでは、「RPA・RBA」と「AIOps」という2つの手法を紹介します。

RPA・RBAの活用

RPAとは「Robotic Process Automation」の略称であり、人間の代わりに定型的な作業を自動的に実行してくれるロボットのことです。処理手順を定義したRPAを構築することで、ドキュメントの作成やメール・チャットの発信などを自動化することができます。

RPAにより、たとえばアラートメールをもとに自動的にインシデント登録を行ったり、インシデント情報を集約して報告書のたたき台を作成したりすることが可能です。RPAの構築は比較的難易度が低く、一定のリテラシーがある人材なら作成ができるという点もメリットといえるでしょう。

また、システムの運用管理業務においてはRBAの活用も有効です。RBAはRun Book Automationの略量であり、システムの運用管理業務に特化した自動化システムを指します。

RBAにより、ユーザー登録の自動化やアプリケーション・サーバーの再起動手順の一括実施などを行うことができます。RPAと比べて開発に専門的なスキルが必要となりますが、業務効率化に大きな力を発揮します。

AIOpsの活用

近年では、システム運用においてAIを活用する動きも進んでいます。AIによりIT運用管理業務やITオペレーション業務の自動化・効率化を進める取り組みを、AIOpsということもあります。

AIOpsとは、2016年に大手ITリサーチ会社であるGartner社が提唱した造語です。ネットワークやサーバー、ストレージなどの監視データやログデータを基に、機械学習により「予兆検知」や「将来予測」、「重要度の低いアラートの削減」などを実現します。

AIOpsの詳細については以下の関連記事もご参照ください。

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モダナイゼーション

IT運用管理業務における直接的な施策ではないものの、運用管理を効率化するためにはモダナイゼーションを進めることが効果的です。モダナイゼーションにより、システムの運用管理はどのように改善されるのでしょうか?

モダナイゼーションとは?

モダナイゼーションとは、旧来利用されてきたレガシーシステムを、クラウド環境や最新のテクノロジを利用して刷新することを指す言葉です。レガシーシステムはブラックボックス化しがちであり、メンテナンス作業などは属人化しやすくなります。また、多くのレガシーシステムは複雑なオンプレミスシステムであり、システムの運用負荷も大きくなりやすいといえます。

このようなレガシーシステムを刷新することで、システム改修の迅速性を向上させ、また運用負荷を下げ維持コストを下げる取り組みがモダナイゼーションです。

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モダナイゼーションにより運用負荷も下がる

モダナイゼーションにより最新技術を利用することで、一般的には運用負荷の低減につながります。たとえば、クラウドの利用は典型的なケースの一つです。オンプレミスシステムでは5年に一度ハードウェアのリプレイスが必要であったり、更新プログラム適用などの定期メンテナンスも自社で実施したりしなければなりません。クラウドを活用することで、これらの作業をクラウド事業者側に担ってもらうことができます。

また、従来スクラッチで開発していたシステムを廃止し、同等の機能を持ったSaaSへ移行することも有効です。この場合、システム運用管理の大半をサービス提供事業者へ担ってもらうことができます。

一方で、予算やリソースの制約から自社の全システムを一度にモダナイズすることは難しく、多くの企業においてモダナイゼーションは段階的に進められます。この場合、オンプレミスで継続運用するシステムとクラウド運用するシステムが併存したり、同一のシステムでも不足するコンピューティングリソースを補うためにクラウドバーストとしてクラウド環境を併用したりすることも考えられるでしょう。過渡期においては、様々な環境の運用管理が必要となることに注意が必要です。

運用DXを実現するLogicMonitorとは

本稿で取り上げたような施策を実施し、運用管理業務を効率化するためには、IT運用管理ツールの選択が非常に重要です。

LogicMonitorは、SaaS型のIT統合運用監視サービスです。オンプレミス・クラウドを問わず、様々なシステムの運用監視を一元的に実現します。3,000種類の監視テンプレートが用意されており、サーバー、ネットワーク、ストレージ、OS、コンテナなど全ITレイヤをフルスタックに監視可能です。

また、本記事でご紹介したAIOps機能も搭載しており、リアルタイムな障害の予兆検知やノイズ・アラート削減も実現します。

LogicMonitorは、運用管理業務のDX推進に活用できるツールといえるでしょう。

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まとめ

この記事では「運用DX」というテーマで、運用業務を効率化する様々な手法をご紹介しました。企業のITコストの多くを占める既存システムの運用保守を効率化することは、企業経営にとっても大きなメリットとなります。また、現場の目線においても、限られた人材で増え行くシステムを運用していくためには効率化が必要となってくるでしょう。

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